家庭医療学会による認定制度

本日付けの朝日新聞の一面に家庭医療学会の認定制度について、記事が掲載されたようである。

速報 もしくは 医療 

記事の本文について(引用)
>同学会は家庭医の先進国・英国の学会と連携し(中略)考えだ。
>認定は、(中略)H家庭医療学センターを手本にする予定だ。
>試験では(中略)1回目は今夏にも実施する予定で、同センターなどで研修中の10人前後が受ける見込み。

の3カ所について、非常に違和感を感じております。
理由は
+個人的に家庭医療学会の運営委員(役員)を務めておりますが役員会ではまだそのような現実的なレベルまで議論は進んでいないこと
+仮に三役(学会長、副会長、監事)のレベルで仮決定がなされていたとしても、先にメディア(=不特定多数)に情報が流れることは戦略的に絶対にうまくないこと、そしてメディアより先に、運営委員、ついで学会員の賛成、承認を得るべきであること

の2点です。

さる1/29に徹底討論会と称して、役員が、直接若手の学会員から意見を聞くという場が設けられ、そこで、H家庭医療学センターの現在のプログラムなどの紹介がありましたが、(家庭医療学会 徹底討論会)あくまでこの会の趣旨はなにを決定するわけでもなく、openな意見交換をする場と、最初に学会長から趣旨説明がありましたので、この場で上記のことが決まったとは考えられません。(実際私も参加しておりましたし、議事録を見てもそういう解釈は不可能です)

現在、個人的に学会の学会長、副会長、監事に事実関係の確認のメール、朝日新聞に情報源の開示及び事実関係の依頼のメールを出しました。

今のところ考えられる可能性は以下のように、いくつかあると思います。
1.報道は全く事実で三役のレベルで仮承認されており、今後運営委員、ついで学会員に賛成、承認が求められる予定である。
 1−a. メディアへは偶然漏れた。:本当に偶然漏れた、ということがあり得るのか、と思いますが、本当に本当ならば今後の運営委員会、学会総会で異議を唱えたいと思います。
 1−b. 誰かが意図的にメディアへ漏らした:その人間は民主的な学会運営を理解していない。運営委員や三役にいるのであれば、不信任投票や、役職の解除なども検討すべき。
 1−c. 運営委員や、学会員よりも先にメディアに流すのが三役の元々の真意で、意図してこのような戦略をとった。:学会の民主的な運営そのものが根底から崩れる。個人的に学会も現在の三役も信用できない。今後、一切、家庭医療学会との関係を個人的に絶ちたいと思います。

2.報道は事実無根だった
 2−a. 情報源となった人が根拠のない情報を流し、記者はそのままを忠実に書いた。:記者に罪はないが、学会として、新聞社に依頼し訂正記事の掲載、HPからの削除を求めるべき。また、情報源となった人を特定して、適切な賠償や処置を求めるべき。
 2-b. 情報源となった人が言ったことを、記者が間違って解釈した。:学会として、新聞社に依頼し訂正記事の掲載、HPからの削除を求めるべき。

確かに、「考え」「予定」「見込み」とfine printを読めば、何一つ決定事項はないのだが、一般の人はそのような厳密な読み方をしないし、この記事のトーン自体そのようではない。

この記事が発表されるに至った本当の経緯は事実関係の把握を待つとしても、この記事によって、とっても大きな影響(悪影響)がでるのではないかと心配しています。具体的には80年代の繰り返しにならないかと。。。。。。。

現在の開業医からの反発は?日本プライマリケア学会、医師会とはお膳立てが済んでいるのか?
これが一個人のフライングによるものであって、しかも最悪の結果がでたとしたら、その人間は日本の家庭医療学にとって、とんでもない犯罪を犯したことになると思う。

家庭医療学を愛する人々、信じる人々が、丁寧に、慎重に事を運んできているのに。

今回の経過をずっと追いかけて行くつもりであるが、最終的な顛末によっては、現在の仕事をすべて辞任して一家庭医としてやっていこうと思います。
現在持っているものを捨ててでも守るべき信条というのはやっぱり存在するんです。